テントを買うと大抵、初期装備として付属しているペグ。
整地された多くのキャンプ場では、その初期ペグで何とかなることも多くあります。
テントに付属しているペグも、それだけで設営できるように付けられたものなので、当然と言えば当然ですね。
付属のペグが余りにも壊れやすいと、そのテントの評価にまで影響を及ぼします。
テントに壊れやすいペグを付けるくらいなら、最初から何も付けない方がマシです。
そのため、ペグは買わなくても、強風下等でなければ何とかなる場合が多いです。
しかし、天気は生き物なので、強風を避け続けることはできません。
キャンプを楽しんでいけば、硬い地質に当たることもあるし、強風に襲われることもあるでしょう。
付属のペグだけで何とかなる場合が多いのは事実ですが、何ともならない場合があるのも事実です。
ペグは消耗品の一つですが、どうせ買うなら強度が高く、曲がりにくいペグの方がおすすめです。
強度の高いペグは多少値段が高いですが、結果的に長く使うことができ、コスパが良いと言えます。
そこでおすすめなのが、高い強度を持つとされる「鍛造ペグ」です。
鍛造とは?
「鍛造」の鍛は「鍛錬」の鍛です。
「鍛える」という漢字でもあります。
長く見ているとゲシュタルト崩壊してきますが、非常に格好いい漢字ですよね。
有名なしそ焼酎、「鍛高譚」のタンもこの漢字です。
「鍛」という漢字を付けているだけで、「鍛高譚」はどこか洗練されたイメージが湧きませんか?
ちなみに「鍛高」はアイヌ語で言うカレイ科の魚のことなので、鍛えたわけではありません。
少し話が逸れましたが、鍛造とは金属を何度も何度も叩き、鍛えながら造ることを指します。
鍛造の技術は飛行機や自動車等、人間の安全を守る多くのものに採用されています。
画像出典 : 新関西製鐵株式会社
もちろん、スパナ等の工具も高い強度が必要なので、鍛造で作られたものが多いです。
そんな鍛造技術で作られた強度の高いペグが鍛造ペグです。
地面が硬くても掘り進められる強靭さ
鍛造ペグの魅力は、何と言っても圧倒的な強靭さです。
一度ペグダウンすれば、強風が吹いてもそう簡単に曲がることはありません。
どちらかと言うとテントが壊れる可能性の方が高いくらいです。
鍛造ペグはそれくらい強度が高く、安定します。
また、その安定さは強風時だけでなく、硬い地質のキャンプ場等でも活躍します。
どんな地面でもガンガンペグを打ち、掘り進めることができます。
この力強さが鍛造ペグの魅力でもあります。
ただ、硬い地面を掘り進める時には手にもそれなりの衝撃が走りますので、ペグハンマーも銅の打面等、衝撃吸収能力の高いものだと安心です。
まぁ私は安物のコールマンのハンマーでガンガン掘り進めてますけどね。
壊れたら良いものを買おうと思いつつも、なかなか壊れないので未だに使い続けています。
リンク : コスパ最強ペグハンマー、コールマン 170TA0088の感想
最強鍛造ペグ2種類
そんな、高い強度を実現した鍛造ペグですが、有名な人気どころは2種類あります。
一つはスノーピーク(snowpeak)のソリッドステークと、もう一つは村の鍛冶屋のエリッゼステークです。
どちらも伝統の技術が受け継がれる新潟県の町、燕三条の会社です。
非常に似通った二つですが、名前だけでなくスペックも似ています。
では、どちらを買えば良いのでしょうか?
まずはそれぞれのスペックをご紹介します。
ソリッドステークの概要
まずはスノーピークのソリッドステークです。
ソリッドステークはいくつか長さの種類がありますが、ここでは最も扱いやすい300mmのものをご紹介します。
長さ | 300mm |
重量 | 180g |
参考価格 | 6本セット/2,480円 |
5本〜6本セットを買った場合の1本あたりの価格 | 413.3円 |
もっと多くのペグをまとめ買いすれば一本あたりの単価は安くなりますが、比較するために6本セットのもので紹介しています。
1本あたり約400円するので安い買い物ではないですが、長く使えるものなので結果的に安物を買うよりもコスパが良いと思います。
エリッゼステークの概要
エリッゼステークは300mmがないので、280mmサイズをご紹介します。
20mm分素材を減らせることが理由かは不明ですが、5本〜6本セットの場合、1本あたりの単価はエリッゼステークの方が安いです。
長さ | 280mm |
重量 | 192g |
参考価格 | 1,655円/5本セット |
5本〜6本セットを買った場合の1本あたりの価格 | 331円 |
重さは192gと、ソリッドステークより12g重いという結果になりました。
鍛造ペグはただでさえ重いので、この12gの重さはあまり嬉しくないですが、気になるレベルではないでしょう。
ちなみに私は赤色を買いましたが、色付きは少し高いです。
目立つことにより探しやすくなると思いましたが、別に赤くなくても良かったかな、と少し後悔しています。
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強度が高いのはエリッゼステーク
ソリッドステークとエリッゼステークを比較するにあたって最も気になるのが強度です。
結論から言ってしまうと、エリッゼステークの方が強度が高いです。
色々な人のブログや知人の話でも、ソリッドステークは曲がったけどエリッゼステークは曲がらなかった!という話をたまに聞きます。
どちらも強度の高いペグですが、とてつもない強風下等では差が生まれるようです。
そしてもう一つは、村の鍛冶屋が実験した強度テストの結果です。
一方側だけの言い分を鵜呑みにするのは良くないですが、職人の町が景表法違反となるような掲載はしていないと信じましょう。
ペグが曲がってしまう時は風などに煽られる場合なので、横方向の力に負けて曲がってしまいます。
以下の結果では、エリッゼステークで約300kgf、エリッゼステークアルティメットで約800kgfの力まで耐えたのに対し、他社の鍛造ペグは220kgfまでしか耐えられませんでした。
kgfとは働く力の単位で、簡単に言うと800kgfであれば地球の重力で800kgの力がかかった状態です。
画像出典 : 楽天市場
この他社鍛造ペグがどこの鍛造ペグかは分からないじゃないか、と思うかもしれません。
しかし、普通の画像では分かりませんが、画像の解像度を上げ、拡大してみると、左側がコールマン、右がスノーピークであることが分かります。
見えますでしょうか?
つまり、この結果が正しいとするならば、エリッゼステークはソリッドステークの約1.5倍弱、アルティメットに至っては約3.6倍の強度があると言えます。
長さや重さの違いはそこまで気にならない
ソリッドステークは300mm、エリッゼステークは280mmなので、エリッゼステークの方が20mm短いことになります。
この20mmという差は、個人的にはほとんど気にならないです。
もちろん、感覚は人それぞれですが、20mmの差が使いにくいという意見は聞いたことはありません。
また、エリッゼステークはソリッドステークよりも12g重いですが、これも特に気になりません。
重さが増えるのは好ましくないですが、もはやここまで重くなってしまっては、12g程度の違いは気にならないと思って良いです。
つまり、使用してみた感想としては、外面のスペック差による違いはほとんど感じられません。
スポンサーリンク入手難易度はソリッドステークの方が低い
ソリッドステークとエリッゼステークで大きく違うのが、入手難易度です。
一般的なアウトドアショップやスポーツショップに行けば、ソリッドステークは複数サイズを取り揃えています。
しかし、村の鍛冶屋は基本的にインターネット通販でしか買えないので、すぐに手に入りません。
また、インターネット通販は送料が発生するので、通常一本ずつ買い足すと割高で、最低単位が5本セットになってしまいます。
万が一曲がってしまったり、紛失してしまったとしても、エリッゼステークは一本ずつ買い足すことができません。
強度の差はあるものの、正直ソリッドステークが曲がるほどの環境でキャンプするのは稀なので、5本も要らないような場合はソリッドステークを買い足すのがおすすめです。
使用感は引き分け!
ソリッドステークとエリッゼステークはほとんど形状が同じなので、使用感はほぼ同じです。
(同じくらい素晴らしい、という意味です。)
どちらも打面が平らに作られており、滑ることなく安定してペグダウンができます。
また、ペグ抜きを引っ掛ける穴やフックはどちらのペグも同じ構造で付いており、この点の使い勝手も甲乙つけがたいです。
撤収時に抜きやすいというのも、ペグを評価するポイントになります。
というか、ここまで似た構造をしていて大丈夫なんですかね。
縦方向の力に対する強さはどちらも高いので、普通の人が普通のペグハンマーで叩いたくらいでは曲がりません。
そのため、ガンガン地中を掘り進められる魅力は、どちらのペグを選んでも健在です。
感想。初めて鍛造ペグを買うならエリッゼステークがおすすめ!
まだ鍛造ペグを持っていない人が、もし鍛造ペグを検討しているのであれば、個人的にはエリッゼステークがおすすめです。
ソリッドステークも良い商品なのですが、長く使うことを考えると強度は大切です。
エリッゼステークはまとめ買いしかできないというデメリットがありますが、最初の購入であれば寧ろまとめ買いの方がお得でメリットがあります。
ソリッドステークはバラでも簡単に手に入るというメリットがあるので、一本だけ追加したい場合なんかは活用すると良いでしょう。
ソリッドステークはエリッゼステークより曲がりやすいと言っても、ソリッドステークを曲げるのは至難の技です。
そのため、既にソリッドステークを十分持っている人がエリッゼステークを買う必要があるかというと、全くありません。
ソリッドステークが曲がるほどの環境でキャンプをして、耐久に不満を持ってから買い換えても遅くないです。
なお、最近は鍛造ペグ以外にも、それに匹敵する高い強度のペグも登場しています。
こちらも同じく新潟県は燕三条の企業、ユニフレーム(UNIFLAME)が発売しているパワーペグSUS等がそうです。
一味違ったユニフレームのパワーペグSUSについてはこちらに書いていますので、ご参考にしてください。
リンク : パワーペグSUSは鍛造ペグよりも頑丈?評価と感想【ブログ】
個人的にはパワーペグSUSよりも鍛造ペグの方が好きですが、キャンプというのは全てに於いて自己満足の世界です。
強度だけでなくデザインや触り心地、メーカーも含め、結局は自分が好きなペグを使えば良いと思います。