【初心者向け】ランタンが光る仕組みとマントルのから焼き方法を解説

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ランタンを使用するためには、マントルのから焼きが必要になります。

慣れた人にはどうってことないですが、初めての方にとっては緊張の一瞬ですよね。

今回はそのやり方をおさらいします。

 

その前に、ランタン(マントル)が光る仕組みも少し解説しておきます。

意外と知らない人も多いので、キャンプの宴会の肴にしてください。

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ランタン(マントル)が光る仕組み

ガスランタンやガソリンランタンを使用するためには、必ずマントルという袋状のものが必要になります。

マントルをつけない場合、ランタンのように明るく輝くことはなく、ただまっすぐ上に炎が上がります。

コールマンのルミエールランタンやスノーピークのノクターンがそうですね。

実際はガスの噴出力が高いので、このような美しい光にはなりません。

ノクターンの灯り

リンク : スノーピークのテーブルランタン「ノクターン」は十分明るく実用的!

 

ランタンはマントルの中にガスを溜め、それを燃焼させることで発熱し、発光しています。

発光しているのは中のガスではなく、あくまでもマントル本体が発光しています。

厳密に言うと、マントルの形に残った硝酸トリウムと硝酸セリウムが発光しています。

 

マントルは綿素材で作られているものが多いですが、マントルには硝酸トリウムと硝酸セリウムが含まれています

これらの混合物を酸化させたものに火をつけると白く発光することが分かっており、ランタンはその仕組みを活用しています。

マントルをから焼きすることで、硝酸トリウムと硝酸セリウムの酸化物だけが残り、マントルの錦糸は燃えてしまいます。(灰化)

こうすることで、発光体とは関係のない不純物を取り除くのです。

 

つまり、から焼きは発光体以外の余分なものを取り除く作業だったんですね。

もちろん、から焼きをせずに火をつけても燃えますが、その場合はマントルが綺麗に整形できず、壊れやすくなってしまいます。

から焼きしないでランタンを付けた場合

画像出典 : coleman

から焼き後に残ったのは、ただの錦糸の灰ではなく、硝酸トリウムと硝酸セリウムの酸化物ですので、非常に壊れやすく、少しの衝撃でボロボロと壊れていきます

 

なお、昔は絹で作られたマントルも使われており、今のランタンよりも明るく人気があったと言われています。

しかし、絹製マントルは微量ですが放射性物質が確認され、今では手に入らなくなりました。

私も見たことはないので明るさの程は分かりませんが、比較してみたかったですね。

マントルのから焼き方法

ここからは簡単に、マントルのから焼き方法をご紹介します。

人気の高いコールマン(coleman)のランタンでやりたかったですが、手元に写真があるのがイワタニプリムス(PRIMUS)のイージーライトランタンなので、これで説明を行なっていきます。

イージーライトランタンの点灯時

参考記事 : PRIMUS「EASY LIGHT」の明るさは?人気のガスランタン を買ってみた

①マントルをランタンにセットしよう

マントルをセットする時は上下に注意してセットしましょう。

イージーライトランタンの場合は緑の紐がある方が上です。

マントルをセットしたランタン

 

コールマンのマントルは袋状になっているので、上下は分かりやすいですね。

コールマンのマントル

画像出典 : coleman

図のように写真右手に見える白い紐を縛って、マントルをガスの噴出口に結びつけます

マントルの取り付け方

画像出典 : coleman

この時、指でシワを伸ばし、形を整えてください

燃やした時の形でマントルは残るので、形が悪いと壊れやすくなります。

②紐がある場合はカットしよう

イージーライトランタンは上からマントルを突き刺すタイプなので、紐は最初から短く整えてあります。

 

しかし、コールマンのランタンは紐を縛るタイプなので、余分な紐が余ります。

余った紐は必ず短くカットするようにしましょう。

余分な紐に火がついて燃えるからではなく、その紐がマントルに触れるだけで、マントルが壊れる可能性があるからです。

 

それだけマントルは脆くて壊れやすいということです。

③端からマントルに火をつけよう

ランタンにマントルをセットできたら、いよいよから焼きを行なっていきます。

から焼きをする時は、必ずマントルの端(下)から火をつけていきます

これは、炎は下から上に向かって上がっていくためです。

イージーライトランタンの場合は、少量のガスを出しながら燃やすことを推奨されています。

※お使いのランタンの注意事項をよく読んでください。

 

マントルの端に火をつけると、みるみるうちに火が広がっていき、マントルが「灰化」していきます。

マントルのから焼きの様子①

から焼きの際は一箇所に火をつければ良いので、複数箇所に火をつける必要はありません

火が燃え広がると共にマントルは小さく収縮していき、やがて完全に灰化します。

マントルのから焼きの様子②

マントルをセットする際に形を整えておかないと、シワの部分が収縮して歪な形になり、小さく・壊れやすくなります。

 

なお、この作業以降、マントルは非常に脆く壊れやすい状態になります。

特に、から焼きをして火が広がった後、ガスを強くして発光させるまでの間は更に強度が低く壊れやすい状態です。

後ほど注意事項としてもあげますが、この状態のマントルは風や振動で壊れてしまうこともありますので、取り扱いには十分気をつけてください。

(この作業中はランタンを動かさないようにしてください。)

④ランタンが光を放ったら完成

炎が燃え広がってから焼きが終わると、マントルは白い光を放ちます。

明るい光を放ったらから焼きは終了です。

 

この後には一度火力を強くし、しっかりと燃焼させるようにしましょう。

光を放つマントル

こうすることにより、マントルは強度を増し、壊れにくくなります。

もちろん、壊れにくくなると言っても比較的という程度ですので、脆いことには変わりありません。

取り扱いに注意しながら、グローブ(ほや)をセットしたら、あとはキャンプ場で実際に使うだけです。

 

なお、グローブ(ほや)を被せる時にマントルにぶつけた場合は、ほぼ確実に壊れますので慎重に作業してください。

グローブをつけたランタン

最後の最後でマントルを壊してしまった人も少なくないと思います。

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マントルのから焼きにおける注意事項(コツ)

マントルのから焼きは、手順通り行えば失敗することはほぼありません。

さあ、やり方も分かったところで早速やってみよう!という気持ちも分かりますが、いくつか注意事項があるので、まずは目を通してから始めてみてください。

必ず屋外でから焼きしよう

1つ目の注意事項ですが、マントルのから焼きは、室内で行なってはいけません

火器だからという理由もありますが、マントルはから焼きの際、強い刺激臭を発生させるからです。

 

これは錦糸が臭いのではなく、硝酸トリウムと硝酸セリウムを燃焼させて酸化させる際に発生する臭いです。

小学校の理科の実験の時に、刺激臭は手で仰いでかぐように教わったと思いまいますが、まさにその実験のような臭いがします。

室内でから焼きをした場合、室内にその臭いが充満するだけでなく、場合によってはガス検知器が鳴ってしまう可能性もあります。

 

また、燃焼の際は多少なりとも煙も出ますので、火災感知器が反応する可能性も否めません

上記の理由から、から焼きは必ず屋外で行うようにしましょう。

テントと空の写真

 

余談ですが、個人的にはこの臭いはそれほど嫌いではないです。

(ほとんどの人が嫌いだと思います。笑)

脆いので絶対に触らないようにしよう

から焼き直後は特に脆い状態なので、触れるのは禁物です。

手で触る人はほとんどいないと思いますが、チャッカマン等を使って火をつける場合も、チャッカマンの先端で触れるだけで壊れる可能性がありますので注意してください。

 

スライドガストーチを伸ばした時

私はSOTOのスライドガストーチを使用して着火させましたが、この先端で触れただけでも壊れてしまいます。

リンク : SOTOのライター、スライドガストーチは高火力で便利!

 

また、もう一つ注意が必要なのが、から焼きが終わってグローブ(ほや)を被せる時です。

グローブは上から覆い被さるように装着するランタンが多いため、慎重に行う必要があります。

まさに「電撃イライラ棒」のような状態です。

 

この時も、マントルにガツンと当てるとボロボロと崩れ落ちて行くので、細心の注意を払って行うようにしましょう。

風や振動の少ない場所で行おう

から焼きのフェーズにおいては、マントルに火を付けて火が広がって、一巡した段階が最も壊れやすい状態です。

屋外で行うことを推奨していますが、風で壊れてしまうこともあります。

弱い風であればまず大丈夫ですが、強めの風が吹いている時は要注意です。

 

ちょっとした枯葉が飛んできたりして当たった場合は、おそらく粉々になります。

(そんなことになったことがないので何とも言えない部分はありますが。笑)

から焼きした後のマントル

 

また、から焼き途中のマントルは振動の影響も受けます。

マントルの端に火を付けたら、明るく光るようになるまで動かさないようにしましょう。

 

特にこの作業中には、ランタンごと場所を移動させるのも避けた方が無難です。

基本的にはそーっと動かせば大丈夫ですが、非常に脆い状態にありますので、あえてリスクを取る必要もありません。

どうしようもなく動かさなければいけない場合は、お皿に生卵を乗せてるような気持ちで運ぶようにしましょう。

マントルは消耗品。必ず予備を用意しよう

手順通りマントルを設置して、正しい使い方を続けていても、マントルは劣化により壊れていきます。

そのため、必ず予備のマントルを用意し、持ち歩くようにしましょう

 

製品にもよりますが、2枚セットのものが多いので、未開封のものを最低一つは入れておくイメージでいましょう。

マントルの予備のマントルが2枚あれば、いざマントルが壊れてしまった際に、一度はから焼きに失敗できます

私は自宅でのストックも含め、4個くらいは置いてあります。

 

なお、既にご説明したように、マントルがない場合、炎は単純に下から上に上がっていきます。

マントルがあることによって、マントルの中にガスが溜まり、美しいランタンの灯りを付けることができるのです。

 

そのため、マントルに穴が空いてしまった場合は、そこからガスが噴出し、炎が噴き出してしまいます

この状態で使い続けると、噴出した炎がグローブ(ほや)に当たり、グローブが割れてしまう危険があります。

 

また、本来では熱くならないような場所が、炎が伸びることにより熱くなることもあります。

思わぬ怪我に繫がりますので、マントルに穴が空いてしまった場合はケチらずに交換するようにしましょう。

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初心者でも決して難しくない!

ガスランタンやガソリンランタンを使ったことがない方は、どうしてもこういったメンテナンスを敬遠しがちな方も多いと思います。

特にキャンプ初心者の方は、まずはLEDランタンを買う人が多いでしょう。

 

かくいう私も、最初に買ったのはLEDランタンでした。

最近のLEDランタンは暖色で強い光が出たり、本物の光と比べて遜色ないような「キャンドルモード」を備えた高性能なLEDランタンもあります。

炎のゆらめきに似せた光量の変化を、LEDランタンで表現しているのです。

 

しかし、本物の炎と決定的な違いは、そこに1/fのゆらぎがあるかどうかです。

リンク : 1/fのゆらぎとは?自然に身を置き、焚き火や音楽でリラックス!

1/fゆらぎは人工的に作り出されるものではなく、そよ風や小川のせせらぎ等、自然的に発生するもので、人間にとって癒し効果があるとされています。

本物の炎で生み出されるランタンの灯りにはこの1/fのゆらぎがあります。

 

LEDランタンにはLEDランタンの魅力がありますので、一概にどちらがいい、ということはありません。

しかし、ガスランタンやガソリンランタンに興味はあるけど、マントルの扱いやメンテナンスの手間で使わないのは勿体ないです。

どんなベテランキャンパーでも「はじめて」があるので、興味があるのであれば、ぜひ恐れず挑戦してみてください。

失敗も思い出だと思って、何でもやってみるのがキャンプをより楽しむコツだと思います。

 

なお、ランタンの設置方法についてはこちらをご参考にしてください。

参考記事 : ランタンはどこに置くのが適切?レイアウトと設置方法を解説

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